アジアカップ2023が始まりましたね。
先日、GS 1節 vsベトナム戦があり4-2で勝利。
コアなファン目線では戦術面での深みがあり、
ライト目線でも派手で見どころの多い試合でした。
が、GS初戦はDAZN独占であることが影響し、
周囲に聞いてもあまり認知されていないように感じます。
これは、コアなファンとしてはめちゃくちゃ寂しいです。
そこで以前から”サッカーにおける放映権料高騰”に関しては思うところがあるので
調査も兼ねて掘り下げてみたいと思います。
■放映権料の高騰の背景
・OTT(Over The Top)の普及
OTTとはインターネット回線を通じて動画コンテンツを提供する事業者のことで
インターネット、5Gなどの高速・大容量通信の普及により急速に増えてます。
最大のメリットは「好きなコンテンツをどこからでもいつでも視聴可能」という点ですね。
私もNETFLIX、DAZNなど5000円/月ぐらいは出費してます。
・スポーツ中継のビジネス価値
スポーツは生中継で視聴しないと価値が無いですよね。
自分の応援しているチームの勝敗のハラハラ感を味わうために
見ているといっても過言ではないと思います。
極端な話、内容よりもライブ性にこそ価値がある。
そのコンテンツとしての希少性が放映権料の上昇の要因と言えそう。
つまり”OTTの普及”と”スポーツビジネスの価値”により
スポーツコンテンツの放映権をめぐる過剰な競争と価格の高騰を引き起こしてる。
■放映権料の高騰
各団体の放映権料の推移をまとめてみました。
①プレミアリーグ
下図はプレミアリーグ放映権料の推移です。
これを見ると1992-97は5年契約で約2億ポンド(約376億円、1ポンド=188円で計算)であり、
1年換算だと0.4億ポンド(約75億円)と割と良心的な値段なんですね。
それが直近の契約では3年契約で約51億ポンド(約9588億円)と
1年換算で17億ポンド(約3200億円)とここ30年で45倍に跳ね上がっています。
②FIFA W杯
下図はFIFA W杯の全世界での放映権料の推移です。
高額な放映権料で知られるW杯も1998年フランス大会までは150億円程度だったらしい。
ただ、2002年日韓大会で1100億円とおよそ10倍に跳ね上がっています。
1998年にブラッターが就任しているのでこの辺りでビジネス色が色濃く出始め、
その一例が公共放送を中心とした体制から広告代理店を介入した体制への移行です。
■放映権料への依存
これまで見てきたように
OTTの普及などを背景に快適な視聴環境が整えられ、
それにスポーツのライブ性という特徴が相まって放映権料は高騰し続けています。
収益という観点から見ると、放映権への依存が如実に見て取れます。
プレミアリーグ(2021-22)とFIFA(2022)のカテゴリー別収益比率を見てみましょう。
似たような収益構造になっていて、いずれも放映権料の割合が50%を超えてますね。
普通の事業会社であればあり得ない依存具合ですね笑
■【懸念】サッカーがオタク文化にならないか?
プレミアリーグ、W杯いずれも放映権料をベースとした
潤沢な資金を元手に規模拡大・コンテンツの質向上・収益向上に繋げています。
コアなサッカーファンとしては質の高い試合が観れるので
それなりの金を払うだけの価値があります。
ただ、ここで気になるのはこのまま放映権料をベースとした運営を続けて、
バブルともいえる膨張路線が沈静化しない限り、
ライトユーザーにとって視聴障壁が高くなる一方だということ。
コアなファンだけが楽しむオタク文化になり、普及は進まなくなるんじゃないか?
そんな懸念をしています。
普及するうえで視聴障壁の低さって大事だと思います。
実際、私が趣味でやっているテニスもきっかけは子供のときに
深夜放送されていた試合をたまため見たことですし、
視聴障壁とは違いますが、ゴルフの競技人口が減っているのも
よく分からないマナーやルールがあるためにやるまでの障壁が高いことが原因の一つだと感じます。
これから先、放映権料が上がることはあっても下がることは無いはず。
サッカーの質向上という観点では嬉しいけど
サッカーの普及という観点から見ると逆走している。
サッカーファンとしてそういったジレンマを抱えています。
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